
夏麻がまだチャットガールを始めたばっかりの頃、
新人を狙った、脱げだの見せろだの見てくれだののエロ会員に
心身ともに疲れていた。
『ライブチャットとは「普通の会話」が出来ないところなんだ 』
そう思っていた。
そんな時、彼はひょっこり現れた。
趣味が同じ事、家も近い事でお互いとても盛り上がった。
私が初めて心を開いた会員さんだった。
多忙な彼は頻繁には来なかったが、月に1度くらいは近況報告も
交えて話しにきてくれた。物知りな彼の話しはとても魅力的に映り、
私は知らぬ間に彼が話しに来てくれるのを待つようになった。
ある日彼は「もし良かったら…」とメールアドレスを教えてく れた。
しかし個人間での連絡の取り合いはサイトの規約に反している し、
なにより他の常連さんの事を考えると個人的にメールをする事なんて
とても考えられなかった。
彼にはちゃんと「規約は破れない。これは仕事だから…」と
メールは送れない事を説明したけど、
それでも笑顔で「いいよ、気にしないで」と言って今までどうり接していてくれた。
教えてくれたメールアドレスは一応メモしておいたものの、
当時の私にはそのメモを捨てる事は出来なかった。
しばらく経つと、彼は来なくなってしまった。
元々多忙な人だったし、きっと仕事が忙しいんだろう…
そう思っていたけど心配でならなかった。
色々な憶測が私の中で渦巻いた。
しかしある程度固定客のついた私はチャットに私生活に忙しく 、
心のうちの彼が占める比率も、徐々に少なくなっていった。
そして姿を見せなくなってから3ヶ月。
彼はまた昔と変わらぬ姿…
いや、むしろ充実した日々を送っていたかのような顔つきで
ひょっこりと話しに来た。
私は舞い上がる心を抑えきれなかった。
話せなかった間、お互い何をしていたのか、どんな面白い事があったのか、
長時間に渡って色々と話した。
そしてその夜、私は捨てられなかったメモ用紙に書かれたアドレスに
ついにメールをしてしまった。
夏麻、チャットガールを始めて半年の出来事だった。
続く
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