
一言もしゃべらない彼に率直に聞いてみた。
「なんで挨拶もしてくれないし、私の質問に答えてくれない、
問いかけにも応じてくれないの?」
そうするとしばらく間をおいてこんな答えが返ってきた。
「話すのが面倒なんだ。適当にしゃべってて」
正直驚いたけど、今まさに会員さんと接続されている事には変わりない。
だから彼の望みどうり、延々としゃべり続けた。
今日出かけた先でのことから、最近はまっているもの、
読んだ本の感想、学生時代の思い出、使っているパソコンの種類から
今までの恋愛経験や、欠けてしまった爪の事まで、
思いつくことを笑顔のまま延々としゃべり続けた。
一切レスポンスもないまま、延々としゃべり続けた。
カメラに映る画像は、本当にラジオを部屋のBGM代わりにしているかの様な
パソコンすら向かっていない男性の姿。
2時間ほどすると
「寝るからまた『聞きにくるね』」と言って、彼は落ちていかれた。
彼は何故ライブチャットをラジオ代わりにしたのだろう。
女の子と出会いたい、しゃべりたい、愚痴を聞いて欲しい、
なんとなく話し相手が欲しい...
そういうような方がライブチャットに来るものだと思っていた私は
本当に驚いた反面、どこか虚しかった。
「話すのは面倒だけど誰かの声は聞いていたい」
というのは彼の抱える孤独感故なのだろうか?
言い表しようもない疲労感と虚しさを抱えながら、
その夜、夏麻はチャットを終えた。